尺八の起源については様々な説がありますが、唐時代の呂才という人によって製作されたということです。
いつ頃、日本に伝わって来たは明らかではありませんが、一般的には竹や芦に孔をあけた「たて笛」の一種が、南方からインド〜中国を経て、仏教の伝来と共に日本に入って来たと言われています。
「続教訓抄」という古書の中に、「聖徳太子、生駒山にて尺八を以って蘇莫者をあそばすといえり」とあります。
また、尺八という言葉がはじめて文献に出てきたのは、平安朝の中頃、一条天皇の御代にできた「源氏物語」の末摘花の章に、「さくはち(尺八)の笛など大ごえを吹きあげつつ」と記されていますから、
平安時代には尺八が吹かれていたことは確かなようです。
尺八の流派には大まかではありますが「琴古流(きんこりゅう)」と「都山流(とざんりゅう)」とがあり、楽譜や尺八の歌口にそれぞれ特徴があったりして、流派による違いがあります。
当教室は、琴古流尺八を教えています。
尺八の楽譜は、カタカナや漢字を用いて書かれています。
「ドレミ」のようなものが「ロツレチリ」となっており、リズムも「点や線」「○や△」で現されたりして、これも流派によって違います。
もちろん五線譜でも吹くことができ、虚無僧が吹く曲(古典本曲)から、古曲宮城道雄(春の海)、童話、ポップスと、ジャンルも様々に楽しむことができます。
尺八は表面に4つ(または6つ)裏に1つ孔があいており、半音は2種類、指やあごを使って吹きます。
奏法も、音をたゆませたり、ゆらしたり、あごをよく使います。
尺八の長さは、基本的な一尺八寸(なので尺八と言います)から、短いものも長いものもあります。
一寸で半音高くなれば短く、低くなれば長くなり、曲や歌によって使い分けて演奏します。
また、尺八は「なかつぎ」と言って、真ん中で分割して収納することができます。
尺八は息の入れ方や角度など、難しく感じられることの多い楽器ではありますが、篠笛同様、思ったよりも鳴らせる楽器です。
特に「筒音」と言われる低い音が出せるようになると、音の響きが指や口、身体にも感じられ、音と一体になったかのように思える楽器です。
尺八から出る音は低目な印象がありますが、実は3オクターブ以上出せますので、篠笛のような"細く鋭い音"があったりして、音にも幅があります。
ムラ息(時代劇に出てきそうな風のような音)などは、尺八の外に息を逃すことにより、聞こえる息の音と尺八の音とを混ぜて、激しくゆらして出します。
首を振ったり、自分の出している音に意識を集めながら、尺八から出る1つ1つの音を楽しんでいただきたいと思います。